厳選して削り落として残すもの
録画したものの未視聴だった番組を、いま消化している。
きょう見て、なるほど~と思ったのは、
マイナス思考で作ったヒット商品たち。
基本的に、日本ではなんでも過剰に利便性を求めて
商品化する傾向にあるのではないかと思う。
あれもできる、これもできるという、その過剰機能のゆえに、
開発コストはべらぼうに上がるし、
いざ使うとなると煩雑すぎて使いづらい。
一般の大衆ほとんどは、そこまでの機能を全く利用しない。
それどころか、そんな機能があることさえ知らない。
その典型が、ガラケーだったと思う。
うちの業界でもある話だけど、
顧客の根っこからの要望がなんであるかを探ることより、
自分たちの技量に陶酔しきっていて、
「こんなすごいものを作った」という満足感で開発している。
ドラムロールの鳴り物入りで、新商品を紹介されるたびに
それ、要ります? と、ちょっと冷めてしまう……。
閑話休題
ロックレスパーキングが登場した
そのマイナス思考で開発された商品のなかでも
いちばん興味をひかれたのは、ゲートやロック版を廃したパーキング場だ。
※ずいぶん前に紹介された番組のはずだから、いまごろ? とお思いの方もおられよう。
すみません、いま録画みました💦
料金支払いの有無を管理するゲートバーがなく、
個別のロック版機能もない。
こんなパーキングがいま増えているらしい。
えーっ?
無銭飲食ならぬ無銭パーキング族が出るんじゃないの?
わたしだけでなく、きっと皆さんもそう思われたのではないだろうか。
なんと、利用者の99%はそういう強制力がなくても
きちんと払っていくらしい!
システムとしては、パーキング内に入ってきた段階で
ナンバープレートが撮影され、自車ナンバーを入力することで
車両が特定され、料金が計測されて、支払う形になる。
ロックレスパーキングの開発者によれば、
わずか1%ほどの未払い者のために
残り99%の善良なる市民が、余剰経費の支払いを被っているという。
それなら、その余剰な経費をできるだけ省くのが筋だと考えたらしい。
もちろん、そうした未払い利用者への対策もある。
未払いの前歴があれば、次回利用時に、マシンのパネルに
未払い車のナンバーも車も未払い回数も、
がっつり映り出るようになっている。わーお。
さすがに、自分の車ががっつり写し出されていたら
停め逃げしてきた輩も、ちょっと怯むに違いない。
わたしとしては、このパーキング開発の発想はもとより、この
99%の利用者が、拘束力はなくとも支払う
というこの事実のほうに興味を惹かれた。
これって、どこの国でも通用する話だろうか。
海外に出ると、故障していない器械に出合わないことがない。
駅舎のチケット販売機しかり
公衆電話しかり(ケータイのない時代ね💦)
スナック自販機しかり
それこそ、料金とられたまんま何も出てこない経験も数知れず。
きちんとマシンが正常に機能するよう常に整備されているから、
こちらも安心してコインを投入できるし、
徴収する側も、やみくもに現金の入った器械が壊される心配もないから、
屋外にこうやって野放しに出しておけるのだろうし。
お国柄によって、前提条件がかなり違うだろう。
サービス提供者も、その利用者も、
おたがいに信頼できる前提があってこそ
ありがたいサービスが安価に利用できる状況に繋がっている。
こういうとき、わたしは愛国心がちょこっと高まってくる。
安心できる場所に生まれることができて、よかったなぁと……。
本日のつぶやき : 愛国心は、道徳の授業や教科書とは無縁の話だな。